正(単漢字)

正とは、小学一年生で習う漢字である。

解説

概要

「ただしい」を意味する漢字。
…なのだが、漢字のなりたちを見ると、上の一本線が城壁、残りの「止」の部分が足を表しており、合わせて「他国に攻めていく様子」という意味の漢字だった。
その後、「攻めていく」の意味は征(単漢字)の方に吸収されていく。
こちらの字は「目的地を目指して足が乱れずまっすぐ進む」に借りて、「ただしい」の意味になった。

後に、「まさしく」「ぴったり」「本来の」「ゼロより大きい」のような意味が生じた。
正方形や正三角形などの「正」は「ちょうど同じ大きさ・長さ」ということ。

「ただしい」とは

「正しい・貞しい・是しい・方しい・謇しい」などが「ただしい」と読むが、ほぼ同じ意味。
何をもってただしいとするかは様々であるが、多数派であったり、権力のある人間の思想・意見に合致していたりするなどが、一般的にただしいとされることが多い。
特に「正義」と言うと時代や立場によってその内容は大きく変わるし、逆に法律やテストの答えのように厳密にただしくない事柄が規定されているものもある。

熟語

通常の読み

正月(しょうがつ)

一年の最初の月のこと。正月を指すのは三が日から長くて1/15までなので、それ以降はあまり「あけましておめでとう」の挨拶は使わない。
秦の始皇帝が降誕した月を「政月」と呼んだのが始まりという説がある。

正統(せいとう)

正しい血筋、嫡流のこと。転じて、始祖の教義や理論などを正しく継承していること。
対義語は「異端」で、その場合の「正統」は厳密には「正統教義」を指し、主にキリスト教に関係する言葉。
最近は「正統派美人」など、定義が曖昧な用法も多い。

特別な読み

正身(そうじみ)

「まさしくその人である」という意味。本人や当人のこと。
もともと「しょうじん」と読んでいたものに身(単漢字)の訓読みにつられて読み方が変化した面白い例。

正面(まとも)

「真面」とも書く。あちらは普通に「ま」と読む分こちらの方が読みづらい。
正面(しょうめん)から向かい合うこと。また、正常であること。
「まともにぶつかり合えば~」というのは前者の意味で、後者のように勘違いしがち。

もともとは「真艫」と書き、「艫」というのは船舶の真後ろの部分のこと。
艫の方からまっすぐ風を受ければ帆船は前進するので、それを真艫(まとも)と呼んだ。

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