生(単漢字)

生とは、小学一年生で習う漢字である。

解説

概要

地面から植物の芽が出るところを象った漢字。「はえる」の意味。
転じて、「うまれる」「いきる」など非常に様々な意味を持つようになった。

読み方の種類も非常に多く、漢検が定めているところでは音訓合わせて16通りもある。
これは全漢字の中で堂々の一位である。
ちなみに二位は上(単漢字)下(単漢字)・明(単漢字)の3字で、12通り。

「とりあえず生(なま)で」

居酒屋など、特定の場所でのみ生(なま)は「ビール」という意味になる。
これは「生ビール」の略なのであるが、何故か「ビール」の方が略されている。

もちろん現在、漢字辞典でこの字を調べても「ビール」という意味は載っていない。
しかし「生」の最初の意味は「はえる」であり「いきる」は後から発生した意味である。
つまり、今当たり前のように使っている漢字の意味も、もともとはその漢字になかった意味だったかもしれないのである。
もしかしたら遠くない未来で「ビール」という意味も辞典に載るかもしれない。

熟語

通常の読み

生命(せいめい)

生物が生きる源となる力。非常に抽象的な概念を持つ言葉である。寿命を指す場合も。
今では直接的な生死に関わらず、「選手生命」など、何かの価値や意義を支える上で重要なものという意味もある。
ちなみに「生命保険」というと、学資保険などほぼほぼ生死と関係ない保険も包含することがある。

生地(きじ)

もともとは、生まれながらの性質のことを指した。
それが段々と具体的になり、「加工する前の布地」「釉薬(ゆうやく)を塗る前の陶磁器」「小麦粉を練り上げて作ったパンや麺のもと」などを直接意味するようになった。

生中(なまなか)

中途半端なさま。生半可(なまはんか)とほとんど同じ。
今ではほとんど使われず、この字は「なまちゅう」と読まれることが多い。
生中(なまちゅう)とは言わずもがな、中ジョッキ入りの生ビールのことである。

特別な読み

生憎(あいにく)

何かをするにあたり都合が悪い状態のこと。
語源は平安時代から用例のある「あや憎し」という言葉で、「あや」の部分はもともと感嘆詞だった。
思い通りにならない状態を憎む気持ちが、そのままその状態を表す言葉に変化している。

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