本とは、小学一年生で習う漢字である。
解説
概要
「木」の根本に線を引いた漢字。ひいて「もと」の意味を表すようになった。
のちに「正式の」「真実の」「心からの」「自分の」などの意味が生まれる。
「book」を意味するようになったのは日本に渡ってきてから。平安時代頃「書写される本(もと)の書物」が本と呼ばれており、転じて書物一般を意味するようになったそう。
「もと」と読む場合
「もと」と読む漢字はかなり多く存在する。
「本」の場合は上述の由来の通り、何かの「根本」の部分と考えればよい。
他の「もと」は以下の通り。
もと | 意味 |
---|---|
元 | 物事や順序の最初の方。「もと」を用いる場合は大抵「元」で成立はする。 「元首相」だと首相をやったことがある人、「前首相」だと直前に首相だった人。 |
本 | 物事が成立する根っこの部分。対義語は「本末転倒」の通り「末」。「水は命の本」など。 |
下 | 物体の下の方。また、力の影響の及ぶ範囲。「灯台下暗し」「法の下の平等」など。 |
許 | 何かの近く。親のそばを「親許」、口のあたりを「口許」など。 |
基 | 物事が成立する基礎や土台。「失敗は成功の基」など。 |
素 | 物事、特に料理などをつくる原料や素材。「ケーキの素」など。 |
旧 | 「元」と似たシチュエーションで、「新」の対であることを強調したい場合に使う。 |
原 | 「元」と似たシチュエーションで、特に始まりや原因を表現したい場合に使う。 |
他にも「質」「酵」など。
助数詞の「本」
「本」で数えるのは鉛筆や電柱など、長細いものである。箸は2本のひとまとまりで1膳と呼ぶ。
「個」との使い分けについては、おおよそ縦横比が1:3より細長いものが「本」になり、それ未満は「個」になる傾向があるようだ。
また、テレビ番組の収録や、論文、広告、ソフトウェア、稽古なども「本」で数える。
電車は基本的に「台」や「両」で数えるが、「電車を一本逃した」などスケジュールを指して言う場合は「本」になる。
電話の回数は繋がれば「本」だが、繋がらない場合は「回」になり、留守電は「件」になる。
このように、一定の時間軸に沿って行われる一続きの事柄も、日本人は「長細いもの」と認識し「本」で数えるという。
飲み物は容器の形を指した由来で「本」で数える。
缶ジュースも同様に「本」で数えるが、中身が食べ物の缶詰や、中身が空っぽの空き缶は「缶」で数える。
これは知らずのうちに中身を見ているという例。
熟語
通常の読み
本当(ほんとう)
真実であること。もともとの筋道に違わないこと。
文頭に「本当に」とつけると「心底」「全くもって」のような意味も生まれる。
「ホント」のように末尾が略される例も散見されるが、そもそも「本当」の由来は正しい道という意味の漢語「本途」からという説があり、発音が語源に回帰している。
本命(ほんめい)
競馬などの優勝候補のこと。転じて、何らかの第一候補全般を指す。
昔は「生まれた年の干支」を指していたが、上記と語源が別である可能性がある。
また、今では「最も好意を寄せる相手」を意味する傾向が強くなっており、手渡されたチョコが「本命」か「義理」かをめぐって全国の若者たちが一喜一憂している。
本来(ほんらい)
もともとの状態や姿かたち。
また、当然そうすべきこと。特別に許可を出したり容認したりする場合に「本来ならば~すべきところだが」などと用いがち。